辛い腰痛にお悩みではありませんか?
厚生労働省 平成28年国民生活基礎調査の概況によると、病気やケガによる自覚症状で、腰痛は男性1位/女性2位となっており、非常に多くの方が悩まれている疾患ということが分かります。
腰痛には多岐にわたる原因があり、中には腰部とは直接関係のない重大な疾患からくる痛みであるケースも存在します。
腰痛について正しく知り、適切な治療や予防法を考えていきましょう。
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腰痛の85%は原因不明! 腰痛の全タイプ一覧
腰痛にはざっくり分けて以下のような種類があります。
原因が特定でき手術などの直接的な治療ができる腰痛(特異性腰痛)は、全体のわずか15%なのです。
大多数の85%は、神経症状(麻痺や痺れなど)や重篤な基礎疾患などがなく、X線やMRIなどの検査をしても痛みの原因を特定できない「非特異的腰痛」=いわゆる「腰痛症」と呼ばれるものになります。
■特異的腰痛(原因が特定できる腰痛):全腰痛の15%
- 腰椎を直接障害するもの
- 腰椎を障害しないが、臓器の周囲にある神経を刺激するもの
■非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛):全腰痛の85%
- 身体的影響
- 心理的・社会的影響
- 女性特有の症状
- 神経の障害 ほか
特異性腰痛とは? 意外な病気も腰痛の原因に!
腰痛の原因は多岐にわたり、いくつかの要因が同時に関与することもあります。
大部分は原因不明ですが、「特異的腰痛」と呼ばれる原因が特定できる症例も約15%あります。
原因となる疾患については以下のほかにも、骨への細菌感染やがんの骨転移など、命に関わる危険なものもあります。「たかが腰痛」と軽視せずに、早めに医療機関を受診して原因を調べることが重要です。
①腰椎を直接障害するもの
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、背骨の骨折など
■腰椎椎間板ヘルニア:椎間板は背骨と背骨の間にあるクッションのようなもので、外側が硬い「線維輪」、内部は軟らかいゼリー状の「髄核」で構成されています。外側の線維輪が変性・断裂し、髄核が飛び出すことで腰痛、座骨神経痛が起こります。椎間板ヘルニアは悪い姿勢や作業、喫煙によって引き起こされることが多いとされています。
■腰部脊柱管狭窄症:椎骨や椎間板の変性や異常な骨の突起(骨棘)によって、脊柱管が狭くなって脊髄神経根を圧迫する「腰部脊柱管狭窄症」は、少し歩くと痛み、前かがみになって休むとまた歩ける(間欠跛行)症状が特徴で、お尻や足にしびれや痛みを感じるケースもあります。
■骨粗しょう症:骨密度が低下して骨折しやすくなる病気で、特に椎骨に影響を与え、圧迫骨折が起こると脊髄神経根を圧迫して背中に慢性の痛みが生じます。主に加齢によって発症します。
②腰椎を障害しないが、臓器の周囲にある神経を刺激するもの
■消化器系の疾患
胃や十二指腸の潰瘍、胆石、胆嚢炎、膵臓炎などは、腰痛を引き起こすことがあります。これらの疾患には、腹痛、吐き気、嘔吐、血便などの症状も伴います。
■泌尿器系の疾患
尿路結石、腎臓結石、腎盂腎炎、前立腺がんなど、腰痛を引き起こす疾患があります。これらの疾患には、排尿障害や血尿などの症状が見られます。
■婦人科系の疾患
子宮内膜症や子宮がんなどの婦人科系の疾患でも、腰痛が起こることがあります。これらの疾患には、おりものの量の増加や不正出血などの症状も見られます。
■循環器系の疾患
心筋梗塞を起こすと、背中や腰の痛みが締め付けられるように感じることがあります。また、解離性腹部大動脈瘤があると、腰と下腹部に突然激痛が走ることがあります。
非特異性腰痛とは? その日常が腰痛の原因に!
検査を行っても腰痛の原因が明確に特定できない場合は、以下のような関係している可能性があります。
つらい腰痛でよく知られる「ぎっくり腰」もこの非特異性腰痛で、正式には「急性腰痛」といい、筋肉や神経、椎間板、生活習慣など様々な原因があります。
これらの要因が複雑に絡み合うと、痛みが徐々に慢性化することも多くあります。
①身体的影響
長時間同じ姿勢でいる仕事、運動不足、肥満、冷え症など
②心理的・社会的影響
ストレス(職場環境、家庭環境、不安、不眠など)
③女性特有の症状
月経、妊娠、出産、更年期など
④神経の障害 ほか
腰痛が慢性化するのはなぜ?
慢性腰痛は、筋肉の炎症や神経障害性疼痛、心理・社会的要因などが絡み合った複雑な状態です。
腰が痛いからといって身体を動かさないことが逆にストレスとなり、神経が過敏になって痛みが慢性化する悪循環に陥ってしまうのです。
さらに、痛みにばかり意識が向かうこともストレスとなり、慢性化の原因となるため、医療機関に相談し、適切に対処することが必要です。
腰痛はどうやって治療するの?
腰痛の治療法は、保存療法が基本です。まずは命にかかわる病気がないかを確認するため、整形外科を受診し、問診や診察、画像検査を行います。
原因が不明な場合は、心理・社会的要因や神経障害性疼痛の可能性を考慮し、治療法を選択します。
- 薬物療法
- 神経ブロック療法
- 理学療法(リハビリテーション)
- 手術療法
- 鍼灸治療
疾患や痛みの程度に応じて、薬剤を選択することで痛みを治療します。
痛みの伝達をブロックするため、局所麻酔薬やステロイド薬を使用する神経ブロック療法は、主に整形外科、麻酔科、ペインクリニックで行われます。
代謝機能や身体機能の改善を目的に、運動やマッサージなどを行う理学療法(リハビリテーション)を行います。
腰椎の固定や神経を圧迫している部位の切除等を行い、症状改善を図ります。
鍼と灸を使って痛みの原因を取り除く治療法です。
鍼は皮膚に細い針を刺して、神経や筋肉を刺激して痛みを和らげます。灸は温熱刺激を与えるもので、痛みの緩和や血行促進に効果があります。鍼灸治療は副作用が少なく、痛みの緩和や身体機能の改善に効果があるとされています。
また、対症療法と違い、痛みや患部に直接刺激をすることで高い治療効果を期待できるほか、薬を使わず自身の治癒力を高めて回復を目指せる=腰痛のみならず全身の健康状態も改善できるため、より積極的に選択しやすい治療法といえます。
たった1回でも腰痛が軽減する!? 鍼灸治療
WHOが鍼灸治療の適応疾患として腰痛症や坐骨神経痛を認めています
WHO(世界保健機構)が定める鍼灸治療の適応症に腰痛症やぎっくり腰、椎間板ヘルニアも含まれています。
他にも、五十肩/むち打ち症/頸肩腕症候群/変形性膝関節症/関節炎/リウマチ/寝ちがい/筋肉痛/捻挫/テニス肘/腱鞘炎などが適応とみとめられいます。
鍼灸治療が腰痛症の治療法として、安心して選択いただけることがお分かりいただけたかと思います。
腰痛に鍼灸治療が効くのはなぜ?
2015年に発表されたメタ分析では、鍼灸治療が腰痛に対して有効な治療法であることが示されました。
その結果、鍼灸治療が偽鍼治療や他の治療法よりも痛みの緩和に有効であることが明らかになりました。
また、鍼灸治療は慢性腰痛に対しても効果があることが示されました。
さらに、鍼灸治療による痛みの緩和には、末梢神経、中枢神経、内分泌系の多くの生理学的メカニズムが関与していることが示唆されています。
鍼灸治療による筋肉緊張の緩和については、動物実験によっても示されています(Wu et al., 2016)。
また、鍼刺激が神経系に作用し、鎮痛物質の分泌を促進することが、神経画像検査によっても確認されています(Hui et al., 2005)。
自律神経のバランス調整についても、鍼灸治療は高い効力を発揮します。
ストレスが腰痛を引き起こすことが知られていますが、鍼灸治療はストレスに対する反応を改善することが明らかとなっており、ストレスによる腰痛の緩和にもつながると考えられています(Wang et al., 2019)。
これらの研究から、鍼灸治療が腰痛に対して有効な治療法である理由は、筋肉の緊張緩和、鎮痛物質の分泌促進、自律神経のバランス調整など、複数のメカニズムが組み合わさっているためと考えられます。
鍼灸治療院Shimogamoの鍼灸は、丁寧なカウンセリングとおひとりおひとりのオーダーメイドの治療で、鍼灸治療の効果を最大限に引き出していることがポイント。
ぜひ一度、お試しください。
腰痛の予防法
腰痛は普段の生活習慣の見直しで予防や緩和ができます。
正しい姿勢が保たれているかをチェックし、腰痛体操やストレッチなどを行い、痛みの軽減や予防をすることをおすすめします。
腰痛体操やストレッチは継続して行うことで、筋力をつけ、筋肉の柔軟性を高めることができます。
精神的にストレスを溜めないように日常を過ごすことも、大切なことです。
他にも、夏場のクーラーによる冷えすぎ、柔らかすぎる寝具なども腰痛の誘因となるので、気をつけましょう。